辞書について覚書

辞書を作るとき、いわゆる英和か英英のどちらを先に作るかという問題があります。 ですが、始めは異言語で定義したほうが良いと思います。 まだ出来上がっていない人工言語をその人工言語で定義するのは極めて困難ですから。 辞書は大抵言語を作りながら作ります。でないとまず作者も覚えきれません。 なので、定義言語をその人工言語にするのは後回しにするほうが良いと思います。

ただ、定義言語を自然言語にすると、人工言語との間で意味のずれが起こります。 それについてどう対処すべきでしょうか。まず、私たちの場合、大抵日本語か英語を使うでしょう。

たとえば日本語なら日本人の身になって、日本語と人工言語の違いを書きます。 手がAという語だとすると、日本語の「手」はときに「腕」にもなるので、 語法欄を設けて「腕」は含まないなどと書く必要があります。 定義言語が英語だとhandとarmは範囲が分かれているのでこの記述は必要ありませんが。

勿論、これだけの問題ではありません。 「手」には「助け」という意味が日本語にありますが、 その意味もその言語にあるのかどうかとか、枚挙にいとまがないくらいたくさん載せる事項があります。

でも、最初からそんな完成した辞書を作ろうとしないでください。 まずは単語帳のような未完成なものでいいです。 とりあえず作者が何という語を何という音や字に当てたか覚えておくためのメモ的なもので十分です。 ただ、この時点で人にばらまくと語法などについて混乱させるので止めたほうが無難です。 とりあえずリマインダー程度の単語帳に留めておいてください。

それができたら徐々に語法なり名詞の指す範囲なりを補強していきます。 デッサンして下絵をして、それから色を塗って、最後に仕上げるように、 1つの辞書を何度も上塗りしていきます。

パレットの右上だけ完成させて次は右下へ向かうというやり方をすることがないのと同じく、 辞書についてもそうしてください。 語源と成立年と造語者(一人で作る場合は不要)は忘れないうちに書いておくといいです。 これは後からの補強が効きづらいです。忘れてしまうので。