人工言語学

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このページでは「人工言語学」の要約を掲載しています。

本論は人工言語学を提唱し、従来のものを自然言語学と位置づける。

人為性による分類
自然言語
混成言語(ピジンやクレオールなど)
自然型人工言語(自然言語を多少アレンジしたもの)
借用型人工言語(規則的な文法に自然言語の語彙)
音象型人工言語(文法も語彙もオリジナルで規則的)
目的による分類
普及型 / 暗号・符牒型 / 演出型 / 研究型 / 趣味型
文化による分類
違文化人工言語(造語や語法を決める文化が話者によって異なる)
定文化人工言語(文化・風土が決まっている)
既文化人工言語(文化・風土が既存のものに決めてある)
新文化人工言語(人工文化と人工風土を持っている)
類型論
屈折語や抱合語は難しいので少ない。膠着語が最も多いが、近年は孤立語も増えつつある。
姉妹語
エスペラントのような言語では母語話者が存在する。その子供は母語の干渉を大いに受けるため、 それが各国に増えていけばやがてエスペラントに方言ができる。方言の域を超えれば、 互いに同じエスペラントを祖語とする姉妹語になる。
通時論

音韻や語彙、文法を持った最古のものは12世紀ドイツの修道院長ヒルデガルトによるLingua Ignota(未知の言語)であり、 1000強の語彙と例文が改造アルファベットで書かれている。ドイツ語とラテン語の影響が強く、おそらく暗号である。

最古の普及型は十字軍国家の修道士ライモンドゥス・ルルスの言語であり、9個の文字を◎や☆や階段状に組み合わせて表す。

ルネサンスの時代になると活版印刷が普及し、土着語を共通語で翻訳する必要が高まった。 しかしラテン語は難しいので、普遍言語論争が起こる。ベーコン、デカルト、ライプニッツ、パスカルらが大なり小なり関わっている。 哲学的な流れと、バベル崩壊以前の言語を探る流れがある。

これらは百科事典的な細かい分類に基づいているが、恣意性が強く書き間違いで意味が大きく変わってしまう欠点を持っていた。 ライプニッツの言語は今日のコンピューター言語に繋がっていくが、人文系ではこれらの改造が現在まで幾度も繰り返されている。

大航海時代で西洋人の視野が広がるとトマス・モアの「ユートピア」などの架空言語が生まれた。

19, 20世紀に入ると理系言語が発達し、文系ではシュライヤーのヴォラピュクがドイツ、フランスからアメリカ、オーストラリアに広まった (しかしアダムの言語論争も再燃。1866年にパリ言語学会が創立すると、言語の起源や普遍言語の論文は扱わないと決めた)。

一方、ザメンホフが1887年にエスペラントの手引書をロシア語で出版した。発表後はとにかく叩き台になり、膨大な言語が派生した。

ネットや交通によって英語が世界中に浸透していく中、乗り遅れずシェアを維持して増やすには、地道な普及運動と利用者にとって 有益と思われる情報を発信するよりほかはない。 今までの人工言語史とその成果を見ると、これからも生き残るのは「秘密の言語」と「空想の言語」の2種類である。

文化論

ある人工言語でプロトタイプの鳥は何か?
狼は何を象徴するのか?
牛と米を表す単純語はいくつあるのか?
兄弟は男女で分けるのか、長幼で分けるのか、分けないのか?
オーロラやスコールはあるのか?
調理動詞は焼く系と煮る系のどちらが細かいのか?
太陽、虹、リンゴ、高貴な色はどんな色なのか?
旧人工言語は話者によってまちまちなので、誤解が絶えない。

日本は木造の家が密集しているので放火は重罪である。
巻物は左手でまくり右手で書いたので、右から左に縦書きする。
羊皮紙やパピルスを生産する風土では違う。
江戸時代の左側通行は、刀の鞘がぶつからないようにするため。
天使に翼があるのはキリスト教で神が天にいるから。
時計は北半球の日時計が回る方向に合わせている。

日本ではムラサキという植物の根から、西洋ではシリアツブリボラ貝から高価な染料を作り、 支那は天帝が紫微垣という星にいると考えられたため、紫が高貴な色だった。 西洋でそれが青に変わったのは、貝を取り尽くしたからだという説がある。

インドのヴァルナ制度で高位のバラモンは白で4番のシュードラが黒だが、 アーリア人のほうが先住民より色白だったことによる人種差別というのが一説である。

世界はグローバル化でかえって文化の違いを意識してしまった。どうすれば地球上の多様な文化に耐えられるか。 文化の違いを、文化をできるだけ漂白して細分化しない方法がある。

妹と呼ぶのに一々「siblingで小さいほうの女」と言わねばならないが、一つ一つの単語を短くすればnjwWmyh(ニューマハ)のように、 sister程度の長さで済ますことができる。こういった言語は普遍言語の性質も国際語の性質も備えており、過去では実現不可能だった。

text by suehiro